第123号 2023/10/1発行
功徳は十方にみちたもう
久しぶりの本山参り
今年の春・夏は、「今年の夏は違う」という言葉では言い表せない暑さの日が続きました。やっと落ち着いたようですが、今度は、いつもと違う冬を迎えるのでしょうか。猛暑日・真夏日が、今年の夏には毎日続いた町が日本中でどのくらいあったのでしょうか?
地球の温暖化が進んでいると、ずいぶん前からいわれているけれども、その対策が見えてこないのは私だけでしょうか。
温暖化は、気温が上がるだけでなく、極度に寒さが厳しくなるところもあります。日本の今年の夏は、猛暑が長く続いた地域、雨が長いこと続いたり、局地的豪雨や、線状降雨帯がしょっちゅう出るようになり、短時間で洪水が起き土砂崩れが多く起こっています。
日本で起きていることや、世界中で起こっていることをテレビニュースでよく見るようになりました。発展途上国などの被害は、日本の被害と比べようがないほど大きいようです。それらの被害を防ごうと対策を立てているけれど、気温や雨などへの対策は頑張っているのだろうか、私には見えてきません。
毎年前年以上に被害が酷くなっているのは日本だけでなく、世界中で考えなくてはならないのではないですか。
しかし、地球に住む生き物が、仲良くにこやかに生きてゆくための集まりを何時しているのでしょうか。話し合う場所を持っているのだから、みんなで集まり、地球の未来をみんなで一緒に考えてほしいものです。
以前、フロンガスによってオゾン層の破壊が問題になったことがありました。先進国では、より豊かな生活を送るために、物を冷やすためにフロンガスを冷蔵庫に使ったり、奇麗な精密機械を作るためにフロンガスで洗うというようなことをしていました。その蒸発したフロンガスでオゾン層が壊れていたのが、南極と北極でした。両極ではフロンガスは使っていないのに。一番の被害を受けていたのです。
温帯地域に生活している大多数の人間には、被害を受けている人たちが長いこと見えないでいました。いや見えないようにしていたのかもしれません。
私たち誰もが生きているという事は、例外なくみんな上手に絡み合っているのです。腐ったリンゴは、腐った所を切り落とし、他の所は全部利用できますし、他のリンゴを利用することができますが、地球はそうはいかないのです。悪くなった所は、地球で生活しているみんなで協力をして、直さなければならないのではないでしょうか。
地球は一つしかないのです。
間違ったことがあればみんなで直し、そしてそれを育ててゆくという当たり前のことが忘れられてしまっているのではないだろうか?
国・人種・地域などにこだわらないで、地球に生まれた、多少の意見・考え方は違う家族として出会えないものでしょうか。
日本人最初の宇宙飛行士毛利衛さんが、地球帰還後のインタビューでいわれた言葉が、
「地球は一つですね」「国境は見えませんでした」
人間だけがこれらのことを裏切っているのではありませんか。 合掌
浄土真宗とは
当院 井上宗温
先日、御法事でお寺に来られたご門徒さんから、一枚の写真を見せて頂きました。故人の子どもの頃の写真で、昭和6年の聞光寺本堂の入仏式での集合写真、つまり、中越沖地震で倒壊した前の本堂が出来たばかりの頃の写真でした。大勢の人が集まっていて、特に今と違うと思ったのが多くのお稚児さん達(子ども達)が写っていたことです。今の本堂の落慶法要の時にも多くの方々が集まり、稚児行列も行われましたが、子どもの人数に関しては比べるべくもなく、昨今の少子高齢化というのがよくわかりました。
その写真の中で他に目に留まったのは、本堂に掛けられていた幕で、そこには葵の紋が描かれていました。葵の紋と言えば徳川江戸幕府ですが、柏崎はその徳川家と縁の深い松平家の桑名藩飛び地でしたので、その紋があったのではないでしょうか。今でいえば、色々な式典で日本国旗が掲げられているのと同じような意味があったのではないかと思います。
とは言うものの、今聞光寺の行事において、日本国旗が掲げられることはありません。それは何故かと言えば、信教の自由が今の日本では認められているから。国に認められなければ、宗教として残っていくことができないという事がないからでしょう。
江戸時代には京都の東本願寺の境内にも東照宮(徳川家康を祀る社)があったそうです。徳川家康より土地を寄進され認められた教団として、それに応えていく必要があったのでしょう。余談ですが、その東照宮で使われていた蝋燭立や香炉、花瓶などが、現在は御影堂門上にある釈迦三尊像の所で仏具として使われているそうです。その為、大谷派の荘厳とは違う形になっているとか。
他にも、私たちの宗派が「真宗大谷派」という名前なのも政治が絡んでいるそうです。徳川家は、浄土宗を信仰していたため、その浄土宗が「法然を祖とする浄土宗こそが真の浄土宗なのにその亜流が「真」とは何事か」と「浄土真宗」という名前を認めなかったそうです。苦肉の策として「真宗」なら使ってもいいよと幕府に認められたために、宗派名は今でも「真宗大谷派」となっているそうです。因みに、お西は戦後に「浄土真宗本願寺派」と改名したそうですが。
彼岸花
坊守 井上千壽子
「暑さ寒さも彼岸まで」ということわざがあるように、お彼岸を境に夏の暑さも和らぐという風に言われるように、涼しく過ごしやすくなったように思います。
毎年この時期の園だよりに、彼岸花が咲くということを書いていますが、いつもの場所に咲いていないような・・・?この時期絶対に咲くはずの彼岸花はどうなったんでしょうか?
ちょっと気になりましたので調べてみましたら、全国的に開花が遅れているのだそうです。ヒガン花は、平均気温が20〜25度まで下がる頃に開花するそうです。夏の気温が高い場合は、花の形成が遅いため、その分開花時期が後ろ倒しになる傾向があるそうです。今年は記録的な暑さが続いたため、暦の上では秋に入ったとしても、ヒガン花にとってはまだ夏気分なのかもしれません。
春の桜の開花にも言えることなのでしょうが、世界的な気温の上昇が植物の生態にも少しずつ影響を与えていることは、確かだと思います。
心配していた、境内の彼岸花も、彼岸花の体内時計で開いてくれることでしょう。楽しみに待っていたいと思います。