第116号 2022/1/1発行
凡夫だから聞こえてくる
私を棚に上げて
新年おめでとうございます。
新しい年を迎えるにあたり、昨年を振り返りながら考えてみます。
先代(二十四代)の発案で、皆様のご協力を得ながら今の庫裡が改築されました。出来てもうすぐ三十年という長い時間が経ちました。庫裡でのことを振り返ってみると、私の住職となってからの歩みが思い出されます。庫裡が完成したのを見て先代が「俺は場所を作ったから、その場所を働かせるのはお前の仕事だ」と言われて、住職を交代しましたが、その庫裡は、聞光寺の大切な場所として、ご門徒様のために働いてきたでしょうか?また、働かせてきたでしょうか?
庫裡そのものはまだまだしっかりしているのですが、約三十年使っているといろいろなところを直さなければならないし、そこで使っている道具は、何回か変わっている現実があります。これからも庫裡を使えば使うほど新しい機械や道具に変わって、違った景色が見えてくることでしょう。
今の社会は、六十才で定年となりますが、近年は健康年齢が伸びてきたので、六十五才まで続けて勤めることができるようですが、若い時のようには動けないでしょう。しかし、私たちの周りに六十五年間休みなく動いている機械はあるでしょうか。人間という機械は、すごい力を持っている精密機械なんですね。
六十才を過ぎたら他に負けないようにと拳を握って頑張るのではなく弱くなったり、悪くなったりしてきたところを、かばいながら上手く老体と付き合ってゆくことが、健康年齢を伸ばしてゆくことにつながってゆくのでしょう。元気だといっても、年を重ねるということは、以前とは違う弱い私になって行くということです。
職場によって違うでしょうが、六十五才を過ぎてからは特に気力・体力が下がってきます。そのように仕事が上手くできなくなった人は、できる人から見ればダメな人と見られるでしょう。
私たちは若い時でも病気やけがをした人たちを、邪魔な奴として扱ってきたのではないでしょうか。自分は大丈夫、上手くやれると思い込み、私は失敗しない人と信じているのではないですか。
「子どもしかるな来た道だもの、年寄り笑うな行く道だもの」(妙好人)
「散る桜残る桜も散る桜」(良寛禅師)
私たちは、何が起こっても不思議ではない「娑婆」に住んでいるのです。誰もがそれぞれに、その時その場所のご縁を一生懸命生きているのだから、そこに私のご縁があるならば、一生懸命応援してあげることが、私自身が豊かな生活をすることになるのではないでしょうか。
新しい年、新型コロナ感染がおさまり、対面でマスクなしで話ができる生活になれることを願っています。
老人が住める街
近年、老人が起こす自動車事故が多くニュース記事として知らされます。原因が、アクセルとブレーキの踏み間違いでの事故のようですが、のちにいろいろな課題を突き付けてくる問題になっているようです。
振り返ってみると、私自身なれない他社の台車に乗っていた時、ブレーキとアクセルを同時に踏んでいる時がありました。慣れてない会社の車だったとはいえ、間違った操作があったということは、慣れた車に乗っていたとしても心配になります。
改めて自分の運転を考え、気を付けなければならないと思います。そしてこれからの老人は、衝突防止の安全機能が付いていなければ乗ることのできない限定の免許証になってしまうかもしれません。
移動手段の少ない地方都市では、老年になればなるほど車は、生活のために必要な、生活必需品になっています。これからのまちづくりや生活のシステムは、安全で人が明るく朗らかに暮らして行ける場所として、考えなければならないのでしょう。
私たちは、元気な時間は人生の半分、あとの半分はお世話になる時間のほうが多いのです。仲良く共にが見える場所・街にしたいものです。
お寺の大掃除
今年もまたたくさんのご門徒さんが来ていただき、本堂や仏具を綺麗にしていただきました。
また、大きな力がないとうまくできない新年のお荘厳(お飾り)もでき、後は新年にご門徒さんの来られるのを待つだけになりました。
掃除をはじめお寺のほとんどの仕事は、たくさんのご門徒さんの手を借りなければ、綺麗に上手くゆかないことをつくづく感じます。
綺麗に荘厳された本堂で、にこやかな顔をしてお参りされるのをお待ちしています。
お墓の改装
今あるお墓を無くし、新しい所にお墓やご遺骨を移動することです。
聞光寺のお檀家で、自分のお墓を見てくれる跡継ぎがない方や。子供はいるけれど、嫁に行ってしまってずっと先まで頼めない方は、「有縁廟」に収めることができます。
また住む拠点を変更しなければならないなどの方は、今あるお墓をどうしていいか困っておられるとお聞きします。
聞光寺のご門徒さんであれば、生活拠点を移すにあたって、全部のご遺骨を移動できない時は、移動分を除いて「有縁廟」に収めることができます。「有縁廟」の約款、規約がありますのでご相談ください。
大切なことは、ご遺骨を収取された後の墓地は更地にし、墓石は整理して管理者にお返しすることです。
子ども報恩講のつどい
当院 井上宗温
毎年、11月21日から28日まで、京都の本山では御正忌報恩講がつとまりますが、丁度祝日となる23日は、子ども報恩講の集いが行われています。
今年はコロナの影響があり、YouTubeから動画を見るという方法でリモート参加ができるという事で、子ども達二人の申し込みをして参加しました。
上の子が一歳の頃には、上山して直接本山で参加したこともありましたが、その時はまだ何もわからず、ただ人形劇などを楽しんでいただけでした。けれども、今回は真城義麿(ましろよしまろ)先生のお話をじっと聞いていたようで、後でどうだったと息子にたずねると、「みんな大事ってことでしょ」としっかりと教えてくれました。
子どもでもしっかりとほとけの教えを聞いていて、自分以上によく分かっているのではないかと、どきっとさせられるような出来事でした。
早くこのコロナの状況が落ち着き、また皆さんと上山出来るような時が来ることを願っております。