発行所:聞光寺発行人:釋温成寺報

第80号 2013/1/1発行

第79号

一年を振り返って

明けましておめでとうございます。

また一年を振り返って、次を見つめなければならない節がやってきました。

毎年毎年納得のゆかない歩みをしているようです。前の年には普通にできていた事が出来なくなっていた事を鮮明に沢山思い出します。

言い換えると、順調に老化しているという事になるんですね。それでいいんでしょう。

そんな私が、常に変わってゆく形あるもの全てと付き合って生きてゆかなければならないのです。その生きて行かなければならない所が娑婆なのです。

そこには私達を狂わせたり、迷わせたり、悩ませたりする事が無量にあるのです。

そしてそこは、私の思いどおりにはゆかない「自然」という楽しい事、良い事、困った事、嫌なこと等が起こってくるのです。

少しでも私達が安心して朗らかに、楽しく生きるには、その自然と上手に付き合わなければならないのです。

しかし、私たち人間は、自分が一番賢いと思ったり、強くて何でも手に入れる事ができると勘違いをして、自然さえも手に入れようとして、自分の寿命を縮めてしまっている事に気付かず、「沢山起きている災害は、私達に災いをもたらすものであるから、立ち向かって勝たなければならない。」と思っているように感じられます。

自然は、私達が生きて行くために必要な働きであり、私達が変える事ができないものです。

その働きの中でどのようにしたら私にとっては、一番幸せ感を感じられるのかを考え生活してゆく事が、生きて行く事を安心して朗らかに、楽しくしてくれるのではないでしょうか。

自然は時々大暴れをします。

それも私達には避けられない事なのですが、古い歴史と、科学の力でそれらを予想する事ができます。何時それが来てもいいような覚悟で生活するのです。

そして普段は、自然の恵みをおすそ分けして頂きながら、共に協力し、安心して朗らかに、楽しく過ごすことが大切だと思います。

毎年同じ事の繰り返しばかりの私達しかおらないのです。

誰もが、同じ一つの「いのち」を、後戻りがきかず、誰とも代わる事ができない、たった一度の人生を生きているのですから、自然の中で共に、違いを認め合ってゆく生活が、安心して朗らかに、楽しく生きる方向ではないでしょうか。

◆地球はひとつ◆

五年前に予定をしていましたが、中越沖地震が起こった為に延期になっていた、中国南京での研修とお参りに行ってきました。

12月13日は日本軍の南京入場の日にあたります。過去に悲しい歴史をお互いに持っておりますが、私達はもっと歴史を学ばなければならないと思いました。

博物館の見学、そして当時14歳で南京城内におられた少女の身の回りで起こっていたことの聞き取りをしたり、残虐行為のあったといわれる所でもお参りをしました。

また上海では、中国・韓国の慰安婦について勉強している大学生と懇談会を持ったりしてきました。

一人ひとりは皆やさしい人であり、争うことを望んではいない事をしっかりと感じさせていただいた時間と出会いでした。

争いの後は良い結果をもたらさないという事は誰もが知っている事なのですが、なぜ争いが起きてしまうのでしょうか。

私が一番かわいいという煩悩が不安の中で増幅されてしまうのでしょう。

私達が大切にしてきた、「一人では生きられない」「おかげさま」等の常々心にかける生活をするように心がけることから、「地球はひとつ」という事を実践してゆけると思います。

悲しい年月より、仲の良かった年月のほうが長かったのですから。

式典の様子
上海西本願寺別院あと
関係者と聞き取り後
2012年を振り返って

当院 井上宗温

この一年を振り返ってみると、色々な事が思い出されます。特に今年は、私にとっては30歳になるという一つの節目の年で、様々な事がありました。

そんな中で、今年一番の出来事と言えば、本堂が完成した事です。7月1日に還座式を執り行い、それまでの庫裡の仮本堂から新しい本堂へと御本尊が移されました。

還座式には本当に大勢の方が来られていて、大変多くの方々の力があってこの本堂が出来たのだな、と改めて感じさせていただきました。

そして、それからは盆内、報恩講などの行事や門徒の方々それぞれの法事などで新しい本堂を使えるようになりました。

とはいうものの、私は二度の震災の最中は京都に住んでいたので、地震は経験していません。

また、柏崎に戻って来てからまだ3年目という事で、法務に携わるようになってからは、ずっと仮本堂で仏事を行っていました。そのため、新しい本堂では新しい事だらけでした。

例えば、花瓶や鶴亀の蝋燭立など全ての仏具は仮本堂で使っていた物よりもずっと大きい物になり、重くて動かすのにも一苦労ですし、それらの仏具が乗っている台、前卓が高くなったためにそこまで持ち上げるのも大変です。加えて、仮本堂では無かった余間が左右にあるので荘厳する場所も増えました。

そんな訳で、多くの初めての事の中で、少しずつ新しい本堂に慣れて来た、そんな一年だったと思います。

来年、2013年の3月には落慶法要が勤められる事となっています。

門徒の皆さんの力でやっとここまで来られた、その事を皆さんと共に喜べるそんな法要になればと思っています。

まだまだ至らぬ事の多い私ですが、これからも皆さんと共に成長していきたいと思っていますので、2013年もよろしくお願いします。